画像が体験選びに与える影響
体験施設を探しているとき、多くの人は最初に画像を見ます。文字情報を読む前に、ヒーロー画像が目に飛び込んできて、「ここは良さそうだ」「ここは合わなそうだ」と直感的に判断する。
それくらい、画像は体験選びの判断材料として強いのです。だからこそ、メディアとしてどんな画像を載せるかは、軽い問題ではありません。
画像と現地のギャップが大きいと、読者は失望します。「写真ではこんなに広々としていたのに、現地は思ったより狭かった」「綺麗な工房の写真を期待していたのに、雰囲気が違った」——こうしたギャップは、体験そのものへの満足度を一気に下げてしまいます。
Haretoは、画像の扱いを慎重に決めてきました。実写真とAI生成画像をどう使い分けるか。どこまで読者に明示するか。何を載せて、何を載せないか。本記事では、その判断基準をできる限り公開します。
なぜAI画像を使うのか
最初に、率直に書きます。Haretoの一部の記事や施設ページには、AI生成画像が使われています。
「メディアなのに、なぜAI画像を?」と疑問に思う方もいらっしゃると思います。私たちが実写真ではなくAI画像を使う場面には、いくつかの理由があります。
ひとつは、著作権の制約です。施設の公式写真を勝手に使うことはできません。Googleストリートビューやレビューサイトに上がっている写真も、商用利用には制限があります。許諾を得て使える写真は限られており、特に開業して間もない施設や、SNSが弱い施設では、使える素材が乏しいのが実情です。
もうひとつは、雰囲気の補完です。施設の実写真があったとしても、たとえば「夕方の落ち着いた時間帯」「家族で過ごすイメージ」といった、特定のシーンを伝えたい場合に、ストックフォトやAI生成画像で補うことがあります。
そして、ジャーナル記事の挿絵としての使い分けがあります。哲学記事や考察記事は、施設の具体的な写真ではなく、テーマを象徴する抽象的な画像が必要なことがあります。こうした場面では、AI画像が有効です。
ただし、AI画像を使うことには明確なリスクもあります。読者が「実際の施設の写真」だと誤解すれば、それは事実上の偽情報になりかねません。このリスクをどう管理するかが、Haretoの画像運用の核心です。
「写真版」と「イラスト版」の使い分け
施設ページの画像については、Haretoでは2つの版を運用しています。
ひとつが写真版です。施設が公開している公式画像、利用許諾を得た画像、または実写ベースの素材を使ったものです。現地の雰囲気を、できるだけ実態に近い形で伝えることを優先します。
もうひとつがイラスト版です。実写素材が用意できない、または雰囲気の補完が必要な場合に、AI画像やイラストで雰囲気を伝えます。
2026年4月時点で、Haretoの掲載スポット50件はすべて写真版に統一しました。これは、「施設ページの主要画像は、できる限り実態に近いものを使う」という方針を徹底するためです。新規追加の施設についても、原則として写真版を基準にしています。
イラスト版を使う場合、画像を見たときに「これはイラストだ」と直感的に分かる構図やタッチを選ぶようにしています。実写と混同しないことが、AI画像を使う上での最低条件だと考えているからです。
ジャーナル記事の画像について
ジャーナル記事(本記事のような考察・哲学記事)については、施設ページとは別の基準で画像を運用しています。
ジャーナル記事のテーマは、しばしば抽象的です。「メディアの信頼性とは」「体験の価値とは」といったテーマに対して、特定の施設の実写真を当てはめるのは、むしろミスリーディングです。テーマを象徴する抽象画像のほうが、内容と整合します。
このため、ジャーナル記事の画像はAI生成画像や、テーマを象徴するイメージ素材を中心に構成しています。本記事の画像も、その方針に沿って用意されています。
ただし、ジャーナル記事であっても、「特定の施設」を指していると誤解されかねない画像は使いません。固有名詞を想起させるような構図、特定の店舗を再現したような画像は避けています。
文字の幻覚と、画像生成の難しさ
AI画像生成には、まだ技術的な制約があります。なかでも、私たちが頻繁に直面するのが「文字の幻覚」です。
AIに画像を生成させると、しばしば看板や張り紙、メニュー表のような場所に「読めない文字」が現れます。日本語のようでありながら、よく見ると意味をなさない文字列。看板に書かれているはずの店名が、AIが勝手に作り出したもの——こうした画像をそのまま使うわけにはいきません。
Haretoでは、画像生成のプロンプトに「文字を入れない」「看板を写さない」といった指示を明示的に組み込んでいます。それでも完全には防げないため、生成後に編集部の目でチェックし、文字が紛れ込んでいないかを確認しています。
この作業は地味ですが、メディアとしての責任です。幻覚で生まれた偽の店名や偽の文字が、施設情報として読者に届くことは、絶対に避けなければなりません。
画像が読者の信頼を作る
最後に、画像運用ポリシーを公開する理由について書きます。
メディアの信頼は、文字情報の正確さだけで作られるものではありません。画像も同じくらい、いやそれ以上に、読者の判断を左右します。「この画像、本物だろうか」「AIで作ったものを実写のように見せていないだろうか」——読者がそうした疑念を持った瞬間、メディアへの信頼は揺らぎます。
だからこそ、私たちは画像の扱いについて、できる限り透明にしておきたい。使っているのか、使っていないのか。どこで使っているのか。なぜ使っているのか。これらを開示することが、信頼の土台になると考えています。
完璧な運用ができているとは思いません。AI画像の混入を完全に避けることは難しく、人間の目によるチェックにも限界があります。それでも、ポリシーを明示し、改善を続けることが、メディアとしての姿勢です。
画像は、体験を選ぶ最初の入口です。その入口で読者を裏切らないこと——それがHaretoの画像運用に込めた約束です。


